弊社HPへアクセス頂きまして誠にありがとうございます。
株式会社RTT チーフオペレーターの高橋です。
前回の更新から早2ヶ月。
見事に怒られました。デュフフwww
ここ最近はとある大型案件や多くの配信需要で大忙しで、
来年からの法人税を心配している高橋であります。
もう11月までの土日祝は殆ど埋まって来てしまいました。
お問い合わせやお見積もりのご依頼はなるべくお早めにお願い致します。
このブログ、意外と業界関係者も見ていると風の噂で耳にしているので、
大変恐縮しております。ありがとうございます。
それでは参りましょう。
第35回!音響屋さんのお仕事
〜ライブレコーディングとマシントラブル編〜
コロナ禍の影響か様々なシチュエーションで配信技術の需要が高まっていますが、
さらにここ最近の体感では、特に「事前収録」をするケースが多いように感じています。
生配信に比べて当然手間やコストは増えるものの、
撮り直しが出来ることから修正が容易で生配信に比べてリスクを抑えることが出来ますよね。
しかしながら上に書いたように手間やコストは跳ね上がります。
通常の生配信に比べて撮り直しを考慮したスケジュール確保や、
収録用のハードウェアやソフトウェア。当然データを保存するためのHDDやSSDなども必要です。
バックアップ用も忘れてはいけません。
そしてそれを扱うためのオペレーター人件費や
映像ならカット編集やMA(マルチオーディオ)作業。
音声なら波形編集やピッチ修正、ノイズ除去やその後のミックスダウンとマスタリング。
生配信であれば最低1日あれば終わるものが、
収録となると大凡1ヶ月程度は作業期間となります。
しかしながらそれを考慮してもクオリティーの高いものを公開したい、
もしくは本番中に放送禁止用語が出てしまうのを防ぎたいという思惑もあるかもしれませんが、
なんにせよコストをかけてでもリスクを下げてクオリティーを上げたいと考えるクライアント様が増えてきたように感じます。
生配信の場合、もし仮に失敗したらそのまま全世界中に公開されてしまうわけですからね。
我々も最近は上記のような音声収録のお仕事をご依頼いただくケースがコロナ前よりも増えてきました。
そんな時に我々が使用するソフト。
そう。
ProTools
です。
世の中には沢山のDAWが存在しますが、
やはり業務用かつ現場レベルでの安定性を求めるならProTools一択です。
次の記事にもしようと思ってますが、
PCスペックなどのマシンパワーが肝になりがちな他のDAWと違い、
豊富な(豊富すぎて意味不明ですが)専用ハードウェアとの親和性や、
そのおかげで得られる安定性と安心感。
他のDAWにはないProToolsの強みです。
しかしながらそんなProToolsでも、
肝心のPCそのものが稼働を停止してしまったら元も子もありません。
ProToolsはあくまでもソフトウェア。PC内部で動作するプログラムです。
ProTools専用ハードウェアもProToolsソフトウェアの安定性を向上させるためのもので、
PCそのもののスペックが上がるわけではありません。
というわけで、当然ProToolsを専用ハードウェアと組み合わせて運用していても
PCが突然フリーズするなんてことは起こりうるのです。
というより、
起こってしまったんです・・・最悪の事態が・・・
Macユーザーの方々へ質問です。
https://etoile-studio.com/troubleshooting/how-to-deal-with-question-folder-on-imac-display/
この画面見たことありますか?
これはMac起動時にMacOSが起動ディスクを見失っている状態の時に出る画面です。
言い換えれば、「このままではOSを起動できない」ということ。
本番収録中にProToolsが反応を停止。
「お?どうしたんだ!?」と思ったら
稼働していたMac miniがそこそこ熱くなっておりました。
※今回のケースはフィクションを交えております。弊社在庫のお話では無いのでご安心を。
もう少し具体的にそれぞれのスペックを記載すると、
■Apple Mac mini(Late 2014)- OS X v10.10 Yosemite
- 第4世代 Intel Core i7 3.0GHz Dual Core
- LPDDR3 SDRAM 1600MHz 16GB
- SATA 256GB SSD
■Avid ProTools|HD 11 w/HDX System
- Avid Sync HD & HD I/O
ざっくりこんな感じだったようで、
Yosemiteとかクソ懐かしいやんwww、って思うんですが、
そこらへんのレコーディングスタジオでは
未だにMac OS X Snow Leopardとかいう12年前のOSがまだ働かされてるという事実があります。
やっぱりアップデートに課金要素があるのはパフォーマンス面で影響を及ぼしていると思うんですけどね。みんな課金渋るからさ。
話を戻すと、
どうやらProToolsだけでなくFinderすらも応答を停止している模様。
シャットダウンさせたくてもOSが応答しないので仕方なく強制再起動。
これはソフトウェアではなくハードウェアの問題だということで、
PCの冷却面を改善させて再度稼働させました。
そしたら1時間半後にまた同じ症状が再発。
バックアップは回っていたし、演者さんの良いテイクを失うわけにはいかないのでもう一度強制再起動。
その後、先程の画面のまま
このMac miniは生涯に幕を閉じたのでした・・・。
Macでトラブルが発生したときと言えば、
- セーフモードで起動する
- NVRAM(PRAM)クリアをする
- SMCクリアをする
- ディスクユーティリティでFirst Aidを実行する
- macOS復元を試みる
大概は③までの段階で復帰することが多いですが、今回の場合はセーフモードは起動せずSMCまで試しても全く改善しませんでした。
ディスクユーティリティを開こうにも、そもそも表示されない状況。
HDD(SSD)を全く認識していない感じなので⑤も現場では試せませんでした。
とまぁ、ここまで来れば大体お察し。
OSが起動しないだけで電源自体は入るしキーボードでのコマンド入力は受け付ける模様。
起動ディスクそのものに問題が発生したと考えるのが自然です。
今回は収録したデータを取り出すのが最優先なので
OSの復旧は後回しにしてデータサルベージをおこなうことにしました。
こういった場合に一番効果があるのがターゲットディスクモードです。
※Intel搭載Macのみ。最新のAppleシリコン端末はやり方が別なので注意。
Macが2台以上ある場合に片方のMacにもう一方のMacを外部ストレージ(外付けHDDやUSBメモリ)として認識させる機能のこと。
OSが起動しなくてもストレージが無事な場合はこの方法で復帰できるケースが殆どです。
2台のMacをそれぞれThunderboltやFireWireケーブルでお互いを繋いで、
外部ストレージとして認識させたい方のMacをキーボードの「T」を押しながら起動。
そうするとターゲットディスクモードで起動したMacのディスプレイにThunderboltやFirewireのマークがうろちょろし始めます。
普通はこの段階で通常起動しているMacに認識されるはずなんですが・・・
認識されず・・・
ターゲットディスクモードで復旧不可能ということはストレージそのものに問題があるということ。
これはいよいよ話がやばくなってきました。
ここまでやって駄目なのであれば普通はApple Storeや正規代理店に修理依頼するのが望ましいですが、
予約が必要だったり少なくとも1週間程度は待たなくてはなりません。
しかし現場にそんな猶予はありませんので、覚悟を決めてMac miniを分解することにしました。
最終手段です。
※Mac miniの世代によって分解方法は違いますのでもし分解したい人は自分で調べてみて下さい。やるなら自己責任で。
今回のMac mini(Late 2014)はSATA接続のSSDが入っているはずなので、
素っ裸の状態で取り出してドライブケースでマウントすればサルベージ出来るはず・・・。
結果、
サルベージ出来ませんでした・・・
結局ドライブケースを使っても他のPCで認識されず。
つまるところ完全にSSDが死んでしまったということになります。
机の上にはバラバラになったMac miniの残骸。
完全にゴミになってしまいました・・・ハァ
しかも金属ばかりで捨てるのにも困る状況。
今回の原因は正直色々考えられるのですが、
検討する間もなく御陀仏になってしまったので結局解明は出来ませんでした。
強制再起動が悪影響を与えたと考えるのが自然なんでしょうが、
他に手段が無かったので仕方ありません。
バックアップで別マシンでも収録は回っていたので今回は事情を説明してそちらで対応。
なんとか収録日丸々無駄にすることは防げました。
Macが突然起動しなくなってしまうことは生涯の内にある程度は発生するもの。
例えば今学生で将来仕事でMacを沢山触ることになる人なら対処法は身につけておきたいものです。
まぁ殆どProToolsは関係ありませんでしたがね。
ではまた!