弊社HPへアクセス頂きまして誠にありがとうございます。
株式会社RTT チーフオペレーターの高橋です。
先週に引き続き今回も
私高橋が独断と偏見で選ぶ初心者向けプラグインを
紹介していきたいと思います。
第26回!音響屋さんのお仕事〜プラグイン編〜Reverb・Maximizer紹介
Reverb(リバーブ)は前回お話ししましたが、
カラオケで言うところの「エコー」の機能で、
「残響」効果を付与するエフェクターです。
我々が普段耳にする音は全て、
壁や床その他様々な影響を受けて反射を繰り返した音を聞いています。
そのために近い音や遠い音などの区別が出来るようになっているわけですが、
それをイヤホンやヘッドホンで聞くときになるべく自然に近い聞こえ方のなるように、
予め反射音や残響を付け加えることであたかも会場内で聞いているかのような印象を与えることが出来るわけです。
そんな中で使われるのが
「Reverb」や「Delay(ディレイ)」です。
Reverbは上記の通りですが、
厳密にはDelayの効果を利用したエフェクトになります。
Delayは英語で「遅れ」を意味する言葉で、
エフェクターとしてのDelayは「やまびこ」効果を付与するエフェクターです。
壁などに反射して帰ってきた様な効果を与えることが出来ます。
こういったReverbやDelay、また音量差を利用して音像の前後感などを演出しています。
・Reverb
Renaissance Reverb 「R-Verb」
先週の記事と同様に古い表記と新しい表記という違いなだけで、中身の変化はありません。
基本的にチャンネルにインサートするのではなく、
AUXパスなどでReverb専用トラックを作ってそこにインサートしつつ、
ReverbをかけたいチャンネルからそのAUXパスにセンドするという使い方です。
というのもReverb全般に言えることですが
非常に処理能力を必要とするのでたくさん使用するとソフトが重くなってしまうということと、
会場の雰囲気を演出するために使用することが多いので、
そもそもリアルに会場に足を運んだとしてその時点で自分の身体は1つしかないということから、
平均3つ、多くても5つ程度までしか使用しないのです。
もちろんたくさん使うのは自由ですし、楽器などにそもそも直接使用する場合は別ですが。
Reverbを使う上で各パラメーターの役割を把握しておくことは非常に大切です。
下手に触るととんでもないことになってしまうことも少なくありません。
ここでは重要なパラメーターのみ紹介します。
画像は上記リンクより拝借しました。
①Reverb Type
Hall(ホール)、Room(ルーム)、Plate(プレート)などの
表現したい環境の種類を選択します。
上記以外にもたくさん種類がありますが、
効果は読んだそのまんまの環境を上手く再現できるようになっています。
(Hallはコンサートホール、Roomは部屋、Plateは先週の記事で紹介したアナログプレートリバーブのモデリングです。)
目的の環境や表現したいものをそのまま選ぶと良いでしょう。
②Predelay
上記画像では3番です。
初期反射音が聞こえる速度を調整します。
簡単に言えば部屋の広さを再現するのに使います。
Reverbは残響の再現をするエフェクターで、残響というのは反射音の連続です。
遅ければ遅いほど遠いところに壁があるイメージです。
ただ拘りがなければ触らなくても問題ありません。
※Rverbに関してはPredelayは後部残響音を調整するパラメーターになるので、
実際の初期反射音調整は上記画像の②です。
通常のReverbとは仕様が異なるので注意。
③Wet/Dry(ウェット/ドライ)
上記画像の⑤番です。
エフェクターを通った後の音がどれくらいの割合で効果を再現するか調整するパラメーターです。
100%Wetなら完全にReverb音になりますし、
逆に100%Dryならエフェクターの音は鳴らなくなります。
50%なら原音と効果音が半分ずつです。
直接インサートするなら調整が必要ですし、
私のようにセンド方法で使用するなら100%Wetにしておいて、センドする音量で調整します。
そうしておけば1つ1つにパラメーター調整をしなくても、
個々のセンドレベルでWetDryを調整できます。
上記リンク先の記事が非常に丁寧に解説されているので、是非ご覧下さい。
・Maximizer
L1 Ultramaximizer
例の如く新旧でデザインが違いますが中身は同じ。
マキシマイザーとは、
簡単に言えばミックスダウンが終わった後の仕上げとして、
音量感を全体的に整えるためのプラグインで、
リミッターやコンプレッサーと似て非なるものです。
動きとしてはリミッターやコンプレッサーと非常に同じような動きをしますが、
所謂「マスタリング」用のプラグインで、
マスタートラックの最後にインサートして
1つのアルバム収録曲全ての音量感を整える目的で使用されることが多いです。
※マスタリングをただ音圧を上げるだけの作業だと勘違いしている方が非常に多いですが、そんな単純な作業では決してありません。
実際にはマスタリングエンジニアのような専門家がいるくらい複雑かつ繊細な作業です。
基本的に触る箇所は2カ所。
ThresholdとOut Ceiling(アウトシーリング)です。
Thresholdはコンプレッサーの方でも説明しましたね。
簡単に言えば基準レベルで、
この値を超えた部分に効果が適用されます。
Out Ceilingは効果が適用された音量がここで設定した値を超えないようにするパラメーターです。
基本的には-0.1dB以下にしておきます。
デジタルの場合は0dBに達した瞬間から音が割れてしまいます。
必ず0dBよりも低い値に設定しておきましょう。
Releaseもコンプレッサーと同じで、
効果が適用されてから効果が終わるまでの値を調整します。
長すぎても短すぎても不自然になってしまうので、
気になるようであれば調整してみて下さい。
使い方としては任意の値までThresholdを下げていって、
Thresholdが下がると同時に音量が上がっていくので
丁度良い値まで設定したらそのままバウンス(書き出し)を行うという流れです。
右にあるメーターがどれくらいの音量が圧縮されたかを表示してくれるので、
目安3dBから6dBくらいの範囲内に収まるようにちゃんと全体をリスニングしながら調整します。
一番右のIDRとかの部分は初心者であれば正直気にしなくて良いと思います。
非常に重要な部分であるのは事実ですが、
流石に頭がパンクしてしまうと思うので説明はあえて省略します。
詳しく知りたい方は「ディザリング」という単語で調べてみて下さいね。
今回紹介したRenaissance系プラグインが収録されている
私がオススメする最強プラグインバンドルが
「Renaissance Maxx」
です!!!
通常価格¥54,000-なのに今は¥9,900-と大幅値下げ中です。
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/205854/
まあWAVESはたまに大幅な値下げを行うのが通例なんですが、
そのタイミングで大量に在庫を抱えるおかげでこの金額が維持できているらしいです。
文字通りWAVESのRenaissance系プラグインが全て収録されていて、
恐らくエンジニアが初心者におすすめするプラグインバンドルランキング1位なのではないかと思います。
これ一つあるだけでミックスのクオリティーが1段上がるのでマストバイアイテムであります。
が、
現在、このRenaissance Maxxの一つ上のグレードである
「Gold」バンドルも大幅値下げ中でした。
定価¥96,000-が今は¥10,000-まで下がっています。
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/202164/
こういうことがよくあるんで、
値段の推移は監視しておいた方が無難です。
こちらのGoldは
上記Renaissance系プラグインに加えて、
今回紹介したL1 Ultramaximizerや、
音像解析に便利な「PAZ Analyzer」など
基本的なプラグインを網羅した便利なバンドルになっています。
PAZ Analyzerはただ単に監視するだけのプラグインですが、
これがあるだけでなんだかテンション上がりませんか?
こういったモチベーション管理は非常に重要だと思っているので、
Renaissance Maxxが買えるなら割り切ってGoldを購入することをオススメします。
今回はここまで。
ご拝読ありがとうございました!