弊社HPへアクセス頂きまして誠にありがとうございます。
株式会社RTT チーフオペレーターの高橋です。
前回に引き続き今回もドラムセットに関する内容をお話ししていこうと思います。
第32回!音響屋さんのお仕事〜シンバル編〜
まずは前回と同じこちらの写真をご覧下さい。
これが普段の私のセッティングなわけですが、
太鼓とは別にシンバルが7種類も配置されているのがわかります。
この写真の一体何がシンバルなのかという説明は流石に不要だと思いますので省略させて頂きますね。
めんどくさいので。
一般的なドラムセットには以下のシンバル達が使われることが多いです。
- クラッシュ
- ハイハット
- ライド
- チャイナ
- スプラッシュ
その他にも
- クラッシュライド
- チャイナスプラッシュ
- ベル
まだまだ他にもありますが今回は上の5種類について触れていきます。
ますはこちら。
「クラッシュシンバル」
私のセットに写っているモデルとは違いますが、
こちらはスイスのシンバルメーカー「PAiSTe(パイステ)」社の「2002 Thin Crash(シン クラッシュ)」というモデルです。
何を隠そうこの私は数多くのシンバルメーカーの中でも、
このPAiSTe社の製品をこよなく愛する「パイステフリーク」であります。
今までもこの先も恐らくPAiSTe製品を贔屓し続けると思いますのでご了承ください。
話は戻りまして、
クラッシュシンバルはシンバルの中でも王様と呼ぶにふさわしいくらいの重要な存在であります。
吹奏楽やオーケストラなどでも使用される合わせシンバルもこのクラッシュシンバルを組み合わせたものです。
基本的にどのシンバルも「厚さ」や「口径(サイズ)」、使われる「合金」で音色がそれぞれ変わってくるので、
ドラマーはその音で好みのものを選んでいます。
もしかしたらドラマーの中には
「こ、このシンバルは、銅が55%、亜鉛が27%、に、ニッケルが18%は、入ったCu-27Zn-18Niご、合金だからグフフ・・・」
とかいって選ぶドラマーもいるかもしれません。
見たこと無いけど。
さてさて、
クラッシュシンバルの場合、基本的には16″〜18″のサイズを使うのがオーソドックスです。
音色の高さや余韻を考慮して私も16″と18″の2種類を採用しています。
因みに私のセッティングの中の一番右端に写っているシンバル。
今はもう廃盤になってしまったPAiSTe社の「Alpha Thin Swiss Crash」。
これも名前の通りクラッシュシンバルの1つなんですが、
皆さんお気づきの通りシンバル自体に穴が空いた加工になっています。
どうして大事なシンバルに穴を開けるのか、穴が空いているなんて信じられない方も居ると思いますが、
この空いている穴のおかげで特殊な音の響きを得ることが出来、
後述するチャイナシンバルとクラッシュシンバルの丁度中間のような独特の歪み感を得ることが出来るので、
「クラッシュだと物足りないけどチャイナだとうるさい」というときにもってこいなのです!
穴が空いているので響く面積が少ないため長い余韻は得られませんが、クラッシュとは違ったアクセントを得ることが出来ます。
チャイナシンバルと同じように「エフェクトシンバル」の部類に含まれます。
続いては「ハイハット」。
写真の様に2枚のシンバルが専用のシンバルスタンドにマウントされています。
上下それぞれ2枚のシンバルはちゃんと上用と下用に作られていて、
足下のペダルを操作して開いたり閉じたりして、
ドラム特有のリズムやビート感を演出するために用います。
基本的には下用よりも上用の方が若干小さく薄めに作られています。
ドラムセットにはバスドラム・スネアドラムと並んで必ずと言って良いほど用いられる楽器です。
こちらもPAiSTe社の「Formula 602 Modern Essential」というシリーズの14インチハイハットです。
13″〜16″サイズが一般的に出回っているサイズですが、おおよそ14″が主流です。
シンバルは基本的にサイズが大きいほど音量が大きく余韻も長くなります。
テンポ感やビート感を演出するのに余韻が長すぎると逆に扱いづらいのと、
13″サイズだと音量が小さくなってしまうので14″を使うのが主流ですが、
元々音量が大きめなハードロック系のバンドサウンドでは
あえて16″サイズで存在感を演出するドラマーも少なくありません。
が、うるさいので私は嫌いです。
でもほんとにこれって重要で、
バンドサウンドの中で一番生音(マイクで調整する前のそのままの音)が大きいのはドラムなんですよね。
バンドアンサンブル(バンド全体の音量感)を邪魔するようなドラマーはドラマー失格だと思っているので、
バンド全体を見回して自分が迷惑にならないように気を遣えるドラマーが良いドラマーの心得だと思っています。
お次は「ライドシンバル」
こちらもセットの写真とは異なりますが、
またまた私のえこひいきでPAiSTe社の「Signature “The Paiste” Blue Bell Ride」を載せてみました。
クラッシュシンバルとは違い、ハイハットと同じようにリズムやビート感を演出するのに用いられるシンバルで、
サイズはクラッシュシンバルと比べると大きく分厚いのが特徴です。大体20″〜24″くらい。
サイズが大きく分厚いので、低い音で長めの余韻がある音がします。
クラッシュシンバルはドラムスティックのショルダーと呼ばれる棒の部分で叩くことが多いですが、
ライドシンバルはスティックのチップ(先端部分)で演奏することが多いです。
また、ライドシンバルもクラッシュシンバルと同じようにショルダー部分でアタックすることもあります。
やはりその場合は低めの音が長い余韻でなるので、
使いどころによっては曲の邪魔になってしまうことも・・・。
効果的に使いこなせると非常に良いアクセントを加えてくれる奥深いシンバルです。
カップと呼ばれる中央の膨らんだ部分が綺麗な音を出すのも特徴です。
んで、このBlue Bell Rideがまた良い音が鳴るんですよねぇ〜
重圧感があって、自分の身体ごとそのサウンドの中に沈み込んで引き込まれるような魅力的な製品です。
「チャイナシンバル」
またまたPAiSTe社の「RUDE Novo China 20″」です。
この写真じゃ伝わりにくいかもなのなんですが、
よーく見てみるとシンバルの形が外に向かって反り返ってるんですよね。わかります?
わかりやすい写真が無かったんですけど、お手持ちの傘を想像してみてください。
クラッシュシンバルが普通に開いた状態の傘だとしたら、
チャイナシンバルは強風を受けて反り返った傘だと思って頂ければ・・・わ、わかります・・・???
とにかくその形状のおかげでこれまた特徴的なサウンドを堪能できるんですな!
名前の通り本当に「チャイナ」っぽい音なんですよ。ほんとですって!
クラッシュシンバルよりも効果音的なここぞというときに使うシンバルで、
ハイハット・クラッシュ・ライドと比較して一概に「エフェクトシンバル」という分類に該当します。
単体で鳴らすと迷惑なくらいうるさいシンバルですが、
ドラムセットやバンドアンサンブルの中で鳴らすと急に気持ちよく
ちゃんと自分の立場をわきまえてるような自然な鳴りがするので、私はこのNovo Chinaを愛用しております。
サイズも厚さも製品によりまちまちです。
どういう効果音が欲しいのか、それに限ると思います。
当然サイズが小さければ音量は小さく余韻も短いです。
ただ、その特殊な形状故に、元々余韻の長いシンバルではありません。どちらかというと厚さの方が重要かも?
購入するときはちゃんと試奏をして、単体で鳴らすより、ドラムセット全体の中で鳴らして確かめる方が良いと思います。
単体で鳴らして好みの音だったのに、いざ購入してセットの中で使ってみると「あれ?こんな音だったっけ?」ってなるんですよね。
最後に「スプラッシュシンバル」
「Signature “The Paiste” Splash 10″」を愛用しています。
スプラッシュという名前の通り、「スパッ」と歯切れの良い音が特徴です。
カホンやボンゴ・コンガといったパーカッション類に組み合わせて使われることも多く、
その場合は手のひらでアタックして使われるのをテレビなどで見たことがある方も多いかもしれません。
あれです。
クラッシュ等に比べるとサイズは極端に小さく薄めのものが多いです。
比較画像がこちら。
このスプラッシュが10″サイズで隣のシンクラッシュが18″サイズです。
他のシンバルに重ねて使われたりわざと逆さまに配置して使ったり、
ドラマーの遊び心が現れやすい?シンバルかもしれません(知らんけど)。
ただ、シンバル自体の寿命が縮むのでかわいそうだから私は普通に使います。
小さいので音量も小さく余韻も短い。逆にそういった特徴を利用して曲にアクセントを加えます。
バラードや曲の静かな部分で使うことが多いかもしれません。
シンバルについて多少はご理解頂けたでしょうか?
恐らくクラシック出身の方々などはまた違ったイメージを持たれているかもしれませんが。
今回も今までも全て私の主観でのお話ですので人によって様々だと思いますが、
なるべくフラットな観点からお話しするように気をつけております。
何かご意見などありましたらお気軽に、またご感想などもお待ちしております。
今回もご拝読頂きまして誠にありがとうございました!