弊社HPへアクセス頂きまして誠にありがとうございます。
株式会社RTT チーフオペレーターの高橋です。
前回まで番外編としてDTMのお話をしましたが、
「まだ6回目なのにもう番外編やってるの?」的な指摘を頂きまして・・・
そんなこと言われたってねぇ・・・
若干飽きがね・・・
一応このブログは、
音響とはなんぞや、むしろオンキョウと聞いて
「音響」という漢字に変換できる人向けのブログではないので、
多方面に気を遣っているつもりなんですが
なかなか一人称視点で進めていくのが難しいものでして・・・
YouTubeの方でも今後解説動画を増やしていくはずなので、
そちらと並行してご覧頂ければと思います。
というわけで今回のテーマはこちら!
第8回!音響屋さんのお仕事〜チューニング編〜
またまた訳の分からないカタカナのご登場です。
世界中の言語の中でも口語が難しいと言われる日本語ですが、
本当に外国の方々には申し訳なく思っています。
ただまぁ冷静になれば聞いたことのある単語だと思います。
「チューニング」・・・調律する・同調する
という意味ですね。
弦楽器や打楽器、殆どの楽器でチューニングは欠かせません。
全ての楽器が同じ音を基準にして調律を行うことで、
演奏したときに綺麗な音が鳴るようにそろえているわけです。
ピアノなどではピアノのチューニングを専門にしている調律師さんなども居ますね。
ピアノのチューニングはとても技術が必要なのでこうした専門の業者さんが居ますし、
ギターやベースなどはチューナーと呼ばれる専用の機械があるのでそれを使ったり、
耳のいい人は聴感だけでチューニング出来たりします。
我々音響屋さんもチューニングをするわけですが、
当然楽器ではありません(楽器をチューニングする場合もありますが稀です)。
通常は楽器専門の担当者(ローディーと呼ばれる)がおり、
奏者の望む音に調整する事が多いからです。
では何をチューニングするのかといえば、
スピーカーです。
というよりは音場ですね。
多分素人の方々には想像できないと思います。
スピーカーをチューニングするとか意味分からんて感じだと思います。
ではなぜスピーカーをチューニングする必要があるのか。
空間によって音が変化するから
です。
例えば、
スピーカーと一概に言えど、
全てのスピーカーで全く同じ寸分の狂いもない音を出すのはかなり難しいです。
きっと不可能だろうと思います。
たくさんのメーカーがあり、そのメーカーの中でもたくさんのシリーズがあり、
全てのスピーカーはそれぞれの個性を持っています。
また音を出す空間もそうです。
屋外なのか室内なのか。
床の材質はカーペット?フローリング?それとも石?
石は石でも大理石なのか御影石なのか、それとも花崗岩?
壁は?
天井の高さは?
当然屋外なら天井は無いかもしれません。
会場の広さは?
狭い?広い?
部屋の形は?
正方形?長方形?それとも台形?
例えばライブハウスや劇場など、
同じ場所で常に同じスピーカー配置であれば、
念のためチューニングはすれどそこまで深く考える必要は無いのかもしれません。
しかし人間の聴感も人それぞれ異なります。
毎日同じオペレーターが仕事をしているとは限りません。
当然休みは必要でしょうし、体調不良とかもあるかもしれません。
また、音楽のジャンルによってもチューニングは変わってきます。
EDMとクラシックではまるで違いますし、
使用する楽器などによっても変わってきます。
我々音響機材レンタル会社が会場専属の方々と明確に違う点は、
・毎回毎回現場が変わる
という点です。
注文されたスピーカーや会場の規模、
屋外か屋内か、
またクライアント様やゲスト様も変わります。
我々音響屋はこれらのことを踏まえた上で現場に臨んでいます。
時間の問題や予算、機材等の兼ね合いで出来ない場合もありますが、
出来るときは必ず音場を確認して本番に備えるようにしているんですね。
ではどのようにしてチューニングするのか。
紹介していきます。
まず始めに、
当然スピーカーを鳴らせる状態にしなければ作業は始まりません。
・どこにスピーカーを置くのか。
ここから考え始めます。
ライブハウスや劇場のように
ステージと客席の線引きが明確なのであれば深く考える必要はありませんが、
必ずしもそういった箱の中が会場とは限りません。
また、スピーカーを設置した場所によっては、
スピーカーの陰に隠れて演者が見えなくなることも当然あります。
さらにスピーカーに近ければ近いほど大音量に聞こえてしまうので、
客席との距離も考えなくてはいけませんし、
ステージと客席の線引きが曖昧なのであれば
目の前をお客様が通ってぶつかってしまったり
スピーカーを倒して最悪の場合怪我をさせてしまうこともあるかもしれません。
たとえ人身事故にならずとも、
床を傷つけてしまったり物を壊したり、逆にスピーカーだって壊れてしまうような
物損事故も計算に入れなくてはいけません。
実際にコンサートなどでは過去にスタッフやお客様が亡くなられたり、
入院するほどの大怪我を負ったりする事故が起きています。
当然そんなこと起こってはいけませんし、
起きてしまったあとも我々の想像を超えるでしょう。
さてさて、無事にスピーカーを設置して
音が出る状態にまでセットアップが終わったとしましょう。
細かいことをいえば音に極限まで拘る人たちは
接続するケーブルや電源の質にまで力を入れることもあります。
私が知っているところでは
毎年群馬県で9月頃行われている野外テクノフェスの
使用するスピーカーから最早機材全て、ケーブル1本1本に至るまで、
主催側が認めた製品しか使用しないという徹底したブランディングがなされています。
また脱線しましたが、
次は実際に音を出して調整していく工程です。
しかし、これはまだ紹介していない新たな機材が登場するので、
次回はその機材の解説も交えて紹介していきます。
最後まで拝読頂きまして誠にありがとうございました!