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株式会社RTT チーフオペレーターの髙橋です。
さて、第1回の記事を書く上で
意外と書きたいことが多いな、というか
上から課されている文字数のノルマを余裕でオーバーしてしまったので
今回はその続きからお話ししていければと思います。
第2回〜音響屋さんのお仕事 モニタースピーカー編〜
さ〜始まりました、
「音響屋さんのお仕事」モニタースピーカー編です!
第1回の記事では
会場のお客様へ音をお届けするだけが我々の仕事ではないとお話ししました。
例えば
・演者さんへの返しスピーカー管理
・近隣への配慮
・プロデューサー・ディレクターさんからの無茶な指示に応える
などなど。
近隣への配慮についてはわかりやすいと思います。
アパート・マンションなどでは上下左右の住人の方への気遣いは欠かせないですよね。
”壁ドン”も現在では青春の1ページみたいな使い方をされていますが、
実は隣の部屋の騒音に対する仕返しが語源だったりします。
それは置いておいて・・・
今回は演者さんへの返しスピーカー管理について主に解説していきます。
音響屋さんのお仕事 〜モニタースピーカー編〜 開幕!
きっと詳しくない方にとっては
返しスピーカー(モニタースピーカー)って何?って感じだと思います。
(ステージ中央に転がってる2つの黒いやつ)
テレビ番組とかで見たことありますよね?
演者さんの足下に転がってるこの黒い箱。
実はスピーカーだったりします。
最近ではカラフルなイヤホンをつけている方も多いですね。
というより最近の主流はイヤホンになっていますが、
これはIn-Ear Monitor(IEM)といって、
オーダーメイドの場合は自分の耳の型を取った専用チューニングが施されるので
カスタムIEMともいいます。
これは演者さん自身が演奏する上で必要な音を聞くために存在しています。
前回も書きましたが、
生ドラムが鳴っている目の前で歌を歌っても、
ドラムの音がうるさいので自分の音程がとても取りづらくなってしまうんですね。
しかし自分の歌声だけが聞こえても、
ギターやピアノなどの伴奏が聞こえなければ音痴になってしまいますよね。
このように歌や演奏などをしやすい環境というのは人によって千差万別です。
学生時代の合唱コンクールを思い出してください。
ソプラノパートの人数が多いのでテノールやバスなどの男声パート、
アルトなどの人数の少ない女声パートも歌いづらくなかったですか?
またピアノからの距離が遠いとピアノの伴奏が聴きづらかったはずです。
つまり自分自身が確認するためのスピーカーなので、
モニタースピーカーという呼び方をします。
先程のイヤホンも同じです。
会場のお客様以外に演者さんが演奏しやすくなる環境作りも我々の重要なミッションであります。
なぜ最近はイヤホンが主流なのかという部分ですが、
それはスピーカーを設置した場合のデメリットが原因です。
・設置した場所から動かない
・音が周りにも漏れてしまう
・場所を取る
・広範囲をカバー出来ない
・ハウリングの可能性がある
などなど。
次にスピーカーのメリットについて
・機種や環境によっては低コスト
・イヤホンのように人を選ばない(サイズの問題など)
・上記の理由から、違う演者さんに転換した場合にも対応しやすい
・場合によっては音が漏れることを利用できる(1台で2人分など)
逆にIEMの場合のデメリットですが、
・基本的に無線を使用するので、周波数帯によっては途切れやすい
・サイズのあったものを使わないと適切な効果が得られない(遮音性)
・ハウリングが起こった場合至近距離で大音量が鳴る為、聴覚障害を起こす可能性がある。
・コストが高い
・演者さん1人1人に合わせてセッティングする必要がある
そしてIEMのメリットについてですが、
・無線を使用するので、移動の制限がない
・オーダーメイドの場合、耳の型を取るので遮音性が非常に高い
・音が漏れることがない
・機種によっては演者さん自身が音量を操作できる
・ハウリングが起きにくい
などなど。
ちなみにこのカスタムIEM、
お金さえあれば簡単に作れます。
最安値でおおよそ5万円くらいからでしょうか。
5万!?高ッッッッッッッッッッッッ!!!
と思ったそこのあなた。
我々プロからすれば、5万円のカスタムIEMは安すぎて使うのが怖いくらいです。
5万円のIEMを注文するくらいなら3万円の普通のイヤホンを使います。
ただそれは音質のお話で、遮音性は抜群でしょう。
絶対に自転車乗りながらカスタムIEM使わないでくださいね。車の音なんて聞こえなくなります。
オーダーメイドなのでどうしてもお金がかかってしまうのですね。
3万円でも高いって人は一度使ってみてください。きっと見聞が広がるはずです。
ちなみに私のオススメはクリプシュ(Klipsch)というメーカーです。
(と思ったら2020年3月現在、私が好きだった機種は全て廃盤となっていました・・・。)
さてさて話を戻しますが、
このようにルンバよろしくスピーカー自体が演者さんの動きを検知して自動追尾してくれるわけでもなく、
スピーカーが増えればその分ハウリングの可能性も高まりますし、
(ハウリングについては別の記事で解説します。)
有名なアリーナクラスの広い会場ではその分だけ多くの数を用意しなくてはいけません。
またカスタムIEMは好きなデザインに出来ることが多く、
演者さん自身のロゴなども入れられたりします。
ファッションとしても活躍することから、
アーティストのキャラ作りやイメージ戦略に使われたりもするんですね。
そんなわけで今回はモニタースピーカーについて触れてきました。
普段の仕事の様子や機材の解説もしていきますので乞うご期待!!
ではまた。