第10回!音響屋さんのお仕事〜リファレンス音源編〜

今回も弊社HPへアクセス頂きまして誠にありがとうございます。

株式会社RTT チーフオペレーターの高橋です。

 

遂に10回目となりました、髙橋ノ傾物語。

今後もあらゆる情報を発信していきますので、

お付き合いのほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

ご意見やご質問も受け付けておりますので、

info@rt-time.com までお寄せください!

(まぁ、ただネタに困っているだけなんですがね・・・)

 

 

それでは参りましょう!

第10回!音響屋さんのお仕事

〜リファレンス音源編〜

 

 

まずリファレンス音源編とはなんぞや、

ってことですよね。

 

 

リファレンスとはお察しの通り

英単語の「Reference」・・・参考・参照

という言葉が由来となっています。

つまりは参考音源ということです。

 

 

前回はイコライザー編のお話でした。

その中でスピーカーチューニングについて触れましたが、

やはり環境によってどうしても音の聞こえ方は変わってきます。

 

また、例えば既に音響機材が仕込んであるホールやその他会場に

オペレーターが単身で乗り込むことも多く、

その場合はオペレーターが初めて触る機材やスピーカーがあることも珍しくありません。

 

さらにそういった機材は勝手に触れないようにカバーが取り付けてあったり、

スピーカーも壁に埋め込まれていて動かせないなど、

乗り込んだオペレーターの思い通りにセッティング出来ないこともあります。

 

普通に自社所有の機材をセッティングしたとて、

オペレーター自らチューニングしたとて、

自分の中の基準となる音にちゃんと出来ているのかは確かめなければいけません。

 

そこで活躍するのがリファレンス音源というわけです。

 

つまりはオペレーターそれぞれが基準として使う音源を実際に再生して、

普段通りだったり望む聞こえ方になっていれば問題ありませんし、

普段とは違う聞こえ方だったり気になるようなことがあれば、

再度チューニングをしてオペレーターの望む音場を作り上げるということです。

 

我々音響屋は基本的には(特に現代において)

学生時代にこの職業に憧れを抱き、

専門学校などで勉強をして

望むべくして社会人になった人たちが多いです。

 

そうでなくてもやはり音楽が好きという人がたくさんいます。

 

楽器が演奏できるとか出来ないとか関係なく、

やっぱりみんな基本的には音楽が大好きです。

 

とにかくいい音でみんなに聞かせてあげたい。

ここで言う”いい音”の定義は限りなく難しいですが、

一言で言えば心地の良い音ということでしょう。

 

新人オペレーターや技術に乏しいオペレーターが居るのも事実ですし、

仕事に熱心でないオペレーターが居るのもまた事実ですが、

やはり職人という立場である以上誇りを持って仕事に取り組んでいますし、

前者に関しては決して怠けているわけでは無く

一生懸命に取り組んでいます。

 

私自身も技術はありませんが

毎年海外で大規模イベントのオペレーターとして

また国内でも毎年ご指名頂いたり

好きなアーティストや作品のイベントに携われているので、

一応私の現場での姿勢に対して一定の評価を頂いているのだと自負しています。

(たまに寝坊したりして本当にすみませんッ!!!!!)

 

さてさてまた長くなりましたが、

そんなわけでオペレーター個々人にはそれぞれが使用するリファレンス音源編が存在し、

その音源を参考にして音場の確認やチューニングに取り組んでいます。

 

まず使用するリファレンス音源について、

オペレーター個々人によって個人差や好み

使用する環境やイベントのジャンルによっても差が出てくるので、

一概に正解という物は存在しません。

予めご了承ください。

 

 

基本的にリファレンス音源は

一般的に流通している音源の中から、

オペレーターが認めた一定の基準を満たしたものが使われます。

 

当然参考音源になるわけですから、

やはり綺麗でまとまりがあったり

心地よい音に調整されている音源が多いと思います。

世界各国で流通している音源の中からプロに認められて選ばれるわけですから、

本当に素晴らしいレコーディングやミックス、

演奏技術も当然ずば抜けているものが多いです。

 

正直私はまだまだ見聞が狭いので

ここで紹介する音源は私や周りの社員の独断と偏見で選んでおります。

ご理解くださいますようお願いいたします。

 

さてさて参りましょう!

RTTチーフオペレーターが選ぶリファレンス音源特集!

 

 

まずはこちら!

Basia / Drunk On Love

ポーランド出身の女性シンガーソングライター

恋に溺れてというタイトルですね。

こちらのアルバム「The Sweetest Illusion」の1曲目に収録されている曲です。

ジャンル的にはAOR(Adult-Oriented Rock)になるんでしょうか。

簡単に言えば大人向けのロックだそうで、

聴いてみれば分かりますが

妖艶かつ大人しく落ち着いたサウンドの中に情熱的な世界観が広がる

正しく大人向けの曲といえるでしょう。

 

やはり綺麗でまとまりの良いミックスになっていて

個々の楽器も輪郭がはっきりしています。

イントロのピアノリフ、

コーラス隊とパーカッションが入ってきて

バンドインしたときのダイナミクスなど、

参考になる箇所がいくつもあり、

また曲調から場所を選ばず使えるので、

様々な会場で周りを気にせず流せる曲です。

 

実はこの場所を選ばずに流せるという点がリファレンス音源にはとても重要で、

場違い感を周りに与えないので、

どんな場所でも対応出来るというのが重要だったりします。

 

また当然ながら音に拘りますので、

細かいことを言えば

使用する音源は大抵CDをそのまま流したり、

PCなどでデータを再生する場合は

データが劣化してしまうため

WAVAIFFのような未圧縮だったり、

ロスレスのような可逆圧縮を使用します。

MP3などの非可逆圧縮は使わなくもないですが、

理想とは言えません。

 

 

さてさて、

2曲目はこちら!

 

Steely Dan/Babylon Systers

 

アメリカ出身のロックバンド

「Steely Dan(スティーリー・ダン)」の「Gaucho(ガウチョ)」

というアルバムのこちらも1曲目に収録されている曲です。

スティーリー・ダン自体は聴いたことあるという人も多いのではないでしょうか。

2000年度の音楽最大の名誉ある賞、グラミー賞では3部門で受賞、

2001年には殿堂入りも果たしている世界的に有名なバンドです。

 

2017年に食道がんでメンバーのウォルター・ベッカーが亡くなってしまいますが、

相方であるドナルド・フェイゲンは現在でもベッカーと作り上げた音楽を大事にしたいと精力的に活動しています。

 

最近では「ジョジョの奇妙な冒険」もテレビアニメ化されまして、

同作品の第3部にあたる「スターダストクルセイダース」編では

このバンドが由来の「鋼入りのダン」という敵キャラクターも登場します。

作者の荒木飛呂彦先生が同バンドのファンであったということも

一部のファンの間では有名な話です。

最終的には主人公にボコボコにされます。

 

イントロはドラムのフィルインから始まり、

またテンポが遅めなのでこの丁寧なドラミングのおかげで

ドラムの音作りをする際にも参考にしやすいです。

スティーリー・ダンの2人による男声ボーカルと、

バックコーラス隊による女声ボーカルが両方聞ける点も重要です。

またバンドサウンドに含まれる楽器の種類も豊富で、

ギターやベース、ドラム以外に、

エレピやクラビネット、トランペットの他にフリューゲルホルンなどが入っている点も

リファレンス音源に相応しいポイントでしょう。

 

 

 

さてさて3曲目に参りましょう!

 

Larry Carlton/Room335

3曲目に紹介するのは

アメリカを代表するジャズ・フュージョンギタリストの

Larry Carlton(ラリー・カールトン)が作曲したRoom335という曲です。

正しくジャズ・フュージョン界を代表するギタリストであり、

Room335もまた代表的な楽曲です。

ジャズ・フュージョン初心者が一番始めに練習する曲だと言われています。

原曲は1977年に発売された「夜の彷徨」というアルバムの1曲目に収録されていましたが、

私のオススメは2008年に発売されたアルバム

Greatest Hits Rerecorded Volume One」に収録されたセルフカバーの方です。

Volume Oneといいつつ、2作目は出ていません。

ちなみに日本で有名なあのB’zの松本孝弘さんと共作でアルバムを出すなど、

現在70歳超えとは思えないほどのスーパーおじいちゃんです。

先程紹介したSteely Danのアルバムにもギタリストとして参加しています。

 

リファレンス音源の殆どに共通しているのが

やはりミックスダウンの素晴らしさでしょう。

原曲の方は正直言えば時代を感じさせる流行からは離れてしまっているサウンドでしたが、

このアルバムでは新しいアレンジもそうですし、

レコーディング環境やミックスダウンなど全ての点においてアップグレードされています。

ボーカルこそ入っていないものの、

個々の楽器の輪郭がはっきりしつつも柔らかめに仕上がっていて、

カールトンの演奏するギターリフやソロも、

若者には出せない落ち着いた貫禄のあるサウンドに仕上がっていて、

とても心地の良い曲になっています。

大人の男性という感じでアダルトだけど下品じゃない理想の男性像ですね。

 

 

 

最後に2曲、現在日本の数多くのオペレーターが

リファレンス音源として使用している楽曲を紹介します。

 

 

TOTO/I Will Remember

アメリカを代表するAORバンド「TOTO(トト)」の「I Will Remember」という曲です。

1995年発売の「Tambu(タンブ)」というアルバムの2曲目に収録されています。

1997年のグラミー賞ではベスト・エンジニア・アルバムにノミネートされました。

 

ちなみにTOTOのメンバーも日本のトイレメーカーのことは把握しているらしく、

当時の雑誌のインタビューにてジョークとしてトイレについて語ったこともあるとか。

 

この曲はなんといってもやはりイントロのソロドラムでしょう。

少ない手数ながらしっかりと重めのドラムサウンドが鳴ってくれるので、

リファレンス音源として広く使われています。

 

タイトルからも分かるとおり切ない曲ですが、

これは1992年に死去したバンドリーダーのジェフ・ボーカロへの鎮魂歌として作られたと言われています。

それまでボーカルを務めていたジェフ・ボーカロが亡くなったことにより、

今作から新しくボーカルを務めることになったスティーブ・ルカサーに対して、

あらゆる批評家達から絶賛の声が上がるなど

新しい旅路へ舵を切ったTOTOを代表する作品といえます。

 

 

Jennifer Warnes/The Hunter

アメリカ出身の女性シンガーソングライター、

ジェニファー・ウォーンズのハンターという曲です。

1992年の同タイトルのアルバムにて9曲目に収録されている曲です。

日本ではあまり馴染みのないアーティストですが、

我々のオペレーター業界やオーディオマニアなど、

世界中で当時から非常に録音クオリティーの高い作品として有名です。

当然歌唱力や演奏技術もずば抜けているので、

どうして日本ではヒットしなかったのか甚だ疑問ではあります。

 

どうやらデビュー当初はプロデューサーに恵まれず、

当時から素晴らしい歌唱力を発揮していたそうですが、

アイドル的な立ち位置で売り出されていたために上手くいかなかったようです。

 

この曲の特徴はあまりにも手数の少ないドラムながら説得力に溢れる点だと思います。

透き通った美しいボーカルにサビ部分から一気に広がるストリングス。

それらを一切邪魔しないドラム。

 

当時の録音環境は当然ながら現代のようにデジタル機器が発達していないにもかかわらず、

このような素晴らしいレコーディング・ミックスダウン・マスタリングを行ったエンジニア達には脱帽するしかありません。

 

 

ていうか・・・

最近の曲、ほとんど無いやん・・・

 

 

また、日本の楽曲を使用するオペレーターも当然存在しますが、

日本の楽曲は世界に比べてやや低音成分が少なめに作られていることが多いです。

恐らく日本特有の美学であったり諸々要因はあると思いますが、

マニアチックな話をすれば

現地と日本とでは電圧に差があることが原因だとして(日本は100V、世界では115Vが基準)

日本のアーティストはわざわざアメリカでレコーディングをしたりするなど、

この電圧の差も音質に影響を与えているのでは無いかと言われていたりします。

 

というわけで今回はリファレンス音源の紹介でした!

 

ご拝読ありがとうございました!

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